大震災のマンション室内被害

保険料は安くて所得控除の対象にもなる地震保険

提案する男女
一戸建てが立ち並ぶ住宅街

保険料は安くて所得控除の対象にもなる地震保険

地震保険は被害認定で支払率が変わる

東日本大震災では大きな損害を受けたマンションは複数ありますが、半壊以下の認定が多く満額保険金の出た事例はなかったです。火災発生が少なかったことが地震保険請求金の少なくなった要因です。

マンションの地震保険で5.2万円を補償

大震災のマンション室内被害

マンションの地震保険は不要と考えている方も多いでしょう。一軒家の場合は1つの契約の地震保険で建物と家財の全てを補償することも可能です。

マンションの場合は地震保険の中でも共有部分、専有部分、家財の3種類に区分されています。共有部分は管理組合が加入するもので、住民は専有部分のみ、専有部分+家財、家財のみの3パターンがあります。マンションの地震保険は不要と考えている方も多いですが、東日本大震災で宮城県のマンションに住んでいたKさんは地震保険に加入していたことで5.2万円の保険金を受け取りました。

損害額に対して受け取れた金額は少ないですが、マンションで加入することにも意味はあります。

地震被害の経緯

2011年の東日本大震災で震度6強の地域に住んでいたKさんは地震保険で専有部分1,200万円、家財保険800万円で加入していました。

マンションは共有部分も柱の一部にヒビが入る損害を受け、部屋の中は家具や家電が倒れて大きな被害が出ました。

地震後に保険会社で行われた調査ではマンション、家財ともに一部損扱いになって、Kさんは5.2万円の保険金が支払われました。

支払われた保険金

マンションの被害で支払われた保険料

マンションの被害認定: 一部損(時価の5%)
家財の被害認定: 一部損(時価の5%)

専有部分の保険金: 1万2,500円

内訳

  • タンスが倒れたことによって傷ついた床の張替え費用: 5,000円(10万円の5%)
  • ガラスの破損(2枚): 7,500円(15万円の5%)

家財の保険金: 39,500円

内訳

  • テレビ: 7,500円(15万円の5%)
  • 食器一式: 4,000円(8万円の5%)
  • タンス: 2,000円(4万円の5%)
  • AV機器(ゲーム機、ブルーレイなど): 4,000円(8万円の5%)
  • その他小物類: 22,000円(45万円の5%)

地震保険支払金合計: 52,000円

ポイント①マンションの地震保険認定は厳しい

Kさんは地震で総額100万円以上の被害を出していながら受け取れた保険金は5.2万円でした。受け取った保険金が少ない要因は建物、家財ともに一部損の認定になったからです。地震保険は損害の認定によって支払われる保険金の割合が異なります。

保険料の支払率は以下の通りです。(基準価格は時価)

  • 全損: 100%
  • 大半損: 60%
  • 小半損: 30%
  • 一部損: 5%

それぞれの認定基準は建物と家財でそれぞれ時価額に対して何%の損害が出ているかの基準があり、最終的には保険会社の調査によって決定されます。

マンションは建物が丈夫なため、東日本大震災では半損扱いのマンションは複数あったものの、建て替えることになっても全損の認定を取れないなど、認定基準が一軒家よりも厳しかったことが問題になっています。

家財については小半損認定されるには時価額の30%以上の損害が出ないといけません。地震でも津波や火災など家全体が被害を受ける状況ではなく揺れによって家具、家電が倒れるのみだと小半損認定されるためのハードルは高いです。

東日本大震災でマンションに加入していた地震保険の保険金支払率、認定基準が厳しかったことから現在も全般的な見直しを議論されています。

ポイント②地震保険料は所得控除対象になる

Kさんが被災した当時は地震保険料の料率は安く、Kさんの払っていた保険料は年間で13,000円ほどでした。(現在の料率なら17,000円ほど)

マンションは一戸建てに比べて地震保険料は安くなります。Kさんが地震保険に加入したのは震災の起こる2年程前です。保険金は5万円なので累計で払った保険料を考えると割高な結果です。

それでもKさんは地震保険で所得控除の恩恵も受けていたし、年間保険料も安かったことから5万円でも保険金を受け取れたのは大きかったと感じたようです。

もし地震で火災が発生して家財だけでも全損認定を受ければ800万円の保険金を受け取れたので、Kさんの状況では保険料は無駄な出費ではなかったと言える内容です。

ポイント③東日本大震災で宮城県の地震保険加入率が上がった

損害保険料率算出機構の発表した統計資料では、宮城県の地震保険加入率は48.5%で全国最高水準になっています。(全国平均27.1%)

要因は東日本大震災の津波被害が甚大だったことや、実際に被害を受けて未加入によって補償を受けられなかった人が多かったからです。認定状況によっては補償される割合が低くなってしまうデメリットはありますが、地震はマンションも全壊や大半損といった大きな被害になるリスクもあるので地震保険に加入しておく価値は高いです。

東日本大震災の事例だけを見ると、一戸建てに比べてマンションは認定が厳しくて地震保険の恩恵を受けられた事例は少ないです。

それでも、全く意味のないものではなく、東日本大震災でも一部損や半損で保険金請求できたマンションはたくさんあります。

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