補償範囲の決定

火災保険は無条件で何でも補償されるワケではない

提案する男女
一戸建てが立ち並ぶ住宅街

火災保険は無条件で何でも補償されるワケではない

不動産屋の見積りはボッタクリかもしれない…

持ち家は火災保険、賃貸は家財保険で加入します。火災保険は「建物のみ」と「建物+家財」の2種類があり、さらに5つの基本補償をどう組み合わせるか選べます。保険商品によっては基本補償を外せない項目が多いケースもあります。

補償範囲を決める

補償範囲を決定するポイントを説明する女性

火災保険の補償範囲を決める際は2つのポイントがあります。

  • 家財保険の有無
  • 基本補償の範囲

不動産会社や金融機関から加入を求められる保険商品は、賃貸か持ち家(所有物件)によって火災保険か家財保険の単独加入になるかが決まります。持ち家で火災保険に加入する場合は、家族構成や家の設備で家財保険にも入るか検討して、家の立地や環境などの災害リスクを考慮して基本補償を決めていきます。

賃貸の場合は補償範囲の決め方自体はシンプルですが、不動産会社から提示される保険内容には罠が仕掛けられていることがあるので注意してください。

火災保険と家財保険の違い

火災保険は以下の3種類があります。

  1. 火災保険(建物のみ)
  2. 火災保険(建物・家財両方)
  3. 家財保険

持ち家の場合は、建物補償が必須なので加入する保険は火災保険です。そこから家財保険も付けるかどうかを選びます。賃貸の場合は、基本的に建物の所有権は大家さんにあるので、居住者は火災保険に加入できません。

しかし、家財については備え付けの家具・家電における災害時の賠償補償や原状回復義務を負う場合もあり、賃貸契約によっては災害によって損失を出した時に建物に対しての損害賠償責任を負う契約が主流です。

そこで賃貸向けの家財保険には借家人賠償責任特約という、災害時に大家さんに対して支払う損害賠償をカバーする特約があります。

家財保険の加入は家財への補償よりも借家人賠償責任特約を付けることを1番の目的にして、不動産会社や大家さんが加入義務を付けることがあります。

自己所有の場合、家財保険は任意

戸建やマンションを購入して火災保険に加入する場合、住宅ローンを組んだとしても金融機関から指定される火災保険の条件に家財保険は含まれていません。家財保険付きの補償にするかどうかは、加入者の価値観次第です。

一般的な考え方は、子供がいるなど居住人数が多いほど家財保険の必要性が高いです。また、加入者の年齢が高いほど、家財の総額が増える傾向があるため、家財保険の設定金額の目安も高くなります。

家財保険の設定額については、STEP4で紹介しています。

1人暮らしや配偶者との2人暮らしで、まずはリサイクルショップなどで最低限の家具・家電を中古で揃えると割り切れる場合は家財保険に加入しなくても問題ないでしょう。

年齢、家族構成による適正基準額でなくても100~300万円の少額設定でか在保険に入っておくと安心できます。

賃貸における保険の必要性

賃貸は建物の所有者が大家さんになります。賃貸物件によっては、一部で大家さんが火災保険に加入しているため、火災保険に一切加入しなくてもいい場合もあります。

ただし、居住者が災害時の損害賠償をする契約になっていることが必須で借家人賠償責任特約の加入義務がある契約が主流です。

賃貸物件の入居者は建物の所有者ではないので火災保険に加入することはできず、家財保険の単体加入をして、オプションとして借家人賠償責任特約に加入することになります。現行の保険商品では借家人賠償責任に単体加入することはできず、必ず家財保険とセット加入する決まりです。

不動産会社は家財保険を高く設定してくることも

賃貸で家財保険に加入する目的は借家人賠償責任特約を付帯することで、家財保険の設定金額は自由設定もしくは最低限の設定金額になっているものです。

しかし不動産会社からしてみれば、最低限の補償では火災保険が安くなってしまい、マージン(手数料収入)を稼げないので、無駄に家財保険を高額設定にして見積を出してくることがあります。

家財保険は、火事で全焼など大きな損害を受けた場合でも設定額の満額が支払われるわけではなく、損害を受けた時価評価額までしか補償されません。中には不動産会社の判断で家財300万円に設定していたけど、火事になっても100万円しか保険金が支払われないなんてケースもあります。災害時に補償される金額以上の保険に入ってもお金をドブに捨てるようなものです。

1人暮らしで家財も最低限のものしかない場合は、家財100万円+借家人賠償責任特約といった最低限の内容にすれば、不動産会社提示の保険よりも大幅に安くできる可能性があります。大家さんが火災保険に加入していて居住者の保険加入義務が必須でない場合も最低限の家財保険のみであれば保険料も安いので一度検討してみるとよいでしょう。

基本補償範囲の決め方

火災保険・家財保険の基本補償は以下の5項目があります。

火災リスク
火災、落雷、破裂・爆発など
風災リスク
台風などの荒天、豪雪、風災、雹(ひょう)などによる外壁・屋根・窓ガラス・付帯物の損傷補償など
水災リスク
台風、ゲリラ豪雨、大雨などによる洪水や土砂崩れなど
日常災害リスク
盗難、給排水設備の事故による水ぬれ、デモによる破壊行為、外部からの物体衝突など
その他の破汚損リスク
上記以外の損害、汚染等(居住者による過失を含む補償プランも有)

火災リスクは、全ての火災保険で必須です。その他4つのリスクは、保険商品によって外せる場合もあります。全体的には通販型保険はカスタマイズ性が高く、不要と思うリスクを省くことができます。

保険業界全体がカスタマイズ性を重視するように商品改訂を進める方向性になっていますが、代理店型保険の一部では5つの補償はセットにしているなど、風災・水災を外せないケースもあります。不要だと思う基本補償があれば、カスタマイズ性の高い保険商品を選ぶようにしましょう。

基本補償で保険料を安くするコツ

火災保険を安くするには、基本補償の中でも風災・水災がポイントになります。水災の場合は、高台で土砂崩れや洪水リスクが少ない立地の家であれば、必要性は少ないです。

風災はマンションであれば完全自己負担の損害が出るのは窓ガラスとベランダくらいなので、何かあれば自己負担で修理すると割り切って外してもいいでしょう。

基本補償を見直して保険料を安くするときは、補償そのものを無くす方法と、基本補償は付けるけど免責金を高めに設定する方法があります。家の災害リスクや価値観、貯蓄などに応じて検討しましょう。

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