放火で倉庫と外壁が焦げて51.7万円を補償

放火のイメージ

火災の出火原因で最も多いのは放火です。消防庁発表の資料では毎年出火原因ランキング1位は放火になっていて、3位~5位前後に放火の疑いもランクインしています。
火事に気をつけて生活していても、外部からの影響で火災の発生リスクがあることを覚えておきましょう。
放火によって火災保険を請求したAさんの話を紹介します。幸いにも燃えた範囲は狭くて家の中には影響がなかったですが、外壁や窓に影響が出たため、総額で51.7万円の請求になりました。

出火の経緯

出火の原因となった雑誌

Amazonをはじめネット通販が好きなAさんは、ダンボールを5箱ほど溜めていて、ゴミ収集日の前日の夜に結いて屋外倉庫に立てかけていました。
Aさんの住んでいる地域はダンボールを個別収集ではなく町内で定められた収集所で集める仕組みだったため、外において翌朝の通勤時にダンボールを出す予定だったそうです。

深夜23時、2階のリビングで雨戸を閉めてテレビを見ながら、そろそろ寝ようかと思っていたところ、ものすごい勢いでピンポンが連打されました。
外では知らない声で何かを叫んでいる様子。てっきり酔っ払いのイタズラかと思いましたが、近所迷惑にもなるので対応しないワケにも行かず、インターホンを出た瞬間「家事ですー!燃えてますよー!!」と聞こえてきます。
火事なんて無縁のものになっていたAさんはパニックになりながらも、寝ている子供を起こすように妻に伝えて外に出ます。
教えてくれた通行人の案内で家の裏に行くとダンボールが燃えていました。
幸いなことに燃えるものはダンボールしかなく、外壁は焦げてはいましたが、外壁材に引火をすることはなく、ダンボールはほぼ燃え尽きている状態。
屋外の水道から車洗車用のホースをつないで、全般的に水をかけて、若干残っていた残り火や灰を完全に消化します。

近所の人も外に出ていて、回りの指示で警察に通報。警察からの連絡で消防が来て、翌日には調査が行われて雑誌と思われるものを使って引火した悪意のある放火だったことが判明しました。
損害箇所は屋外倉庫、外壁が薄いコゲも含めると直径5メートル四方の損傷、窓の1枚がサッシとガラスが焦げていました。
被害を受けたのは夏だったのですが、冬はストーブ用の灯油のポリタンクを倉庫の中に入れていたので、灯油のない季節で最低限の被害で収まったことは不幸中の幸いと感じていました。

支払われた保険金

無事支払われた保険金

火災による損害保険金:517,400円
・内分
外壁サイディングボード張替え1面(30平米):40万円
窓枠サッシ、ガラス交換:3万2,400円
屋外倉庫交換:7万5,000円
残存物片付け費用(倉庫、サッシ):1万円

ポイント①警察・消防にしっかり連絡していた

Aさんの場合は、燃えたのは実質ダンボールと放火用の雑誌のみで、外壁、倉庫、窓はダンボールの燃えた熱で焦げて損傷しましたが、燃え移ってはいません。
自力で消化も完了できていたのですが、火災保険というよりかは、放火被害を懸念して警察に通報しました。
結果的に犯人はみつかりませんでしたが、警察を通じて消防に連絡がいったことで、罹災(りさい)証明書を発行してもらえました。
火災で保険請求する場合は罹災証明書が必要で、もし消防車は不要な状況という理由で何も連絡せずに数日経過していたら火災保険を請求できなかった可能性もあります。
火事やボヤで保険請求するときは消防署に申告して罹災証明書を発行してもらうことを覚えておきましょう。

ポイント②倉庫は建物に含まれる

Aさんは災害当時、保険料を優先して家財保険には加入していませんでした。
敷体内にある倉庫をはじめ、屋外設備は建物に含まれるため、火災リスクの補償(火災保険の基本補償)で対応できました。
なお、倉庫は保険会社ごとで大きさに制限のある場合もあります。
倉庫は放火で狙われることもあるので、大きい倉庫や、はなれの建物やプレハブを持っている場合は、補償対象になるかと事前申告の必要性の確認を取っておきましょう。

ポイント③保険請求額は安く収まった

損傷を受けたのは外壁、倉庫、窓(ガラス・サッシ)のみで隣接する家にも迷惑はかかっていないため、火災による損害保険金のみの請求で収まりました。
もし屋内の失火で、修繕工事するまでホテルを利用しないといけない状況だったり、家電や家具が燃えていた場合は臨時費用特約(付随する費用の特約)や家財保険も適用されます。(加入していた場合)
Aさんは付随費用のかからない損害で収まりましたが、今回の放火騒動をきっかけに火災保険の補償を大幅に見直したそうです。