臨時費用特約10%の保険会社を選んで後悔

いきなりですが、以下の2つの保険会社はどちらが魅力的ですか?
・A社
建物価格 2,000万円
臨時費用特約 30%300万円
年間保険料 22,000円
・B社
建物価格 2,000万円
臨時費用特約 10%100万円
年間保険料 20,000円
臨時費用特約以外の補償内容が全く同じだった場合、節約嗜好の強い方は1割も保険料が違うなら臨時費用特約10%100万円のB社で十分だと考える方もいるでしょう。
10年契約を選択した場合は保険料の差額が2万円の大きな差になります。
補償の手厚さと保険料のどちらを重視するかは人それぞれの価値観によって変わるので甲乙つけがたい比較ですが、同じ2社で以下の見積が出た場合は、どちらを選びますか?
・A社
建物価格 1,800万円
臨時費用特約 30%300万円
年間保険料 19,000円
・B社
建物価格 2,000万円
臨時費用特約 10%100万円
年間保険料 20,000円
今回の事例では、ともに家が全焼になった際は建物の補償と臨時費用特約の合算で最大2,100万円の保険金が出ます。
臨時費用特約をフル活用できなければB社の方が手厚い補償になりますが、これはあくまでも全焼などの大きな損害が出た場合です。A社は臨時費用特約が30%なので、小さな損害でも最大でB社の3倍相当の臨時費用が支払われます。(実際にかかった臨時費用の範囲内)
年間保険料も安くなることから、おそらく100人中90人以上はA社を選ぶことになるでしょう。

臨時費用特約は、火災や自然災害、その他の事故が起こった際に支払われる保険金に大きな影響を与えます。
一部の火災保険と火災共済は、臨時費用特約が10%100万円までしか対応していないケースがあります。
臨時費用特約の補償額と最大支払金の違う保険会社を比較する際は、保険料だけではなく建物の設定金額を微調整して比較するのも節約に有効なテクニックです。
特に、保険をかけている住宅に住めなくなった際に、ホテルや賃貸住宅の仮住まいを用意しないといけない方は、臨時費用特約の条件が良い火災保険を選ぶべきです。
臨時費用特約の重要性と保険会社ごとで補償額の設定が異なることを理解していないと、保険請求をする事態になった時に後悔します。
また、臨時費用特約が10%100万円など悪い条件の中で、他社より僅差で最安値になった火災保険を選んで満足している方も多数見られます。
一括見積サービスを利用する場合は、保険会社によって臨時費用特約の初期見積設定が異なるケースがあるので注意しましょう。
臨時費用特約の条件一覧
楽天損保
災害時諸費用30%500万円、緊急時仮住まい費用10%100万円
東京海上日動
10%100万円のみ
損保ジャパン日本興亜
30%300万円、30%100万円、20%100万円、10%100万円から選択可能
三井住友海上
30%・20%・10%の3パターンから選択可能、上限額は割合を問わず300万円
セゾン自動車火災保険
30%100万円のみ
ソニー損保
10%100万円のみ
SBI損保
10%・20%・30%&100万円・200万円・300万円の合計6パターンから選択可能
日新火災
10%100万円のみ
AIG損保
30%300万円、30%100万円、10%100万円の3パターンから選択可能
セコム損保
10%100万円、30%300万円の2パターンから選択可能
あいおいニッセイ同和損保
20%300万円、10%300万円の2パターンから選択可能
コープ共済
20%100万円のみ
都民共済
20%200万円のみ
おわりに
火災保険における臨時費用特約を設定するポイントは次の通りです。
ちょっとした災害に備えたい → 割合・上限額を問わず臨時費用特約を付帯しておくことが大切
建て替えや大規模リフォーム時の仮住まい費用まで手厚く補償してもらいたい → なるべく上限額を多くする(建物の設定額で割合の重要性が変わる)
手厚い補償をつけておきたい → 30%300万円以上を推奨
臨時費用特約はいらないから火災保険を安くしたい → 臨時費用特約の付帯を任意設定できる保険会社を選ぶ
臨時費用特約は軽視されやすい特約ですが、万一の際に支払われる保険金が数百万円以上変わることがあります。
状況によっては建物補償の設定額を少し減らして臨時費用特約を増やすことで、保険料を節約できる場合もあります。
保険会社によって臨時費用特約の設定額が変わってくるので、見積比較をする際はなるべく条件を合わせるようにして、上限額が低い保険会社は慎重に検討しましょう。
臨時費用特約をしっかり付けたい場合は、各社の条件一覧を見て候補を絞り込んでください。